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【第9回】「トップメッセージ」でやってはいけない3つの掟

  • 2017.6.22

CSRコミュニケーション協会のアドバイザーを務めます猪又です。このブログでは、「CSRデジタルコミュニケーション入門」に書かれている内容の補足や分量的に追加できなかった内容を含めて、日々感じたCSRコミュニケーションについてお伝えします。

今月からレポートにある各テーマについて効果的なコミュニケーション手法は何かを考えていきます。今月は、ESG投資にとって重要なコンテンツである「トップメッセージ」です。

これだけはやってはいけない「トップメッセージ」

まずはCSRコンテンツの肝になるトップメッセージです。おそらく、トップメッセージは多くのCSR報告書の最初の部分に書かれていますが、皆様はどういった印象をお持ちでしょうか?先日、CSRコミュニケーション協会のランキング選定委員会でも話題になったのですが、やはり、人によって受け止め方は様々です。なかには、そんなの全く読まないという人も多かったですが(笑)、果たして、トップメッセージはどうあるべきなのでしょうか?まずは、「これはやってはいけない」という掟を確認していきましょう。

掟1:台本を読んでいるようなトップメッセージはいらない

さて、私も数々のトップメッセージを読んでいますが、あきらかに、「これどこかで同じような文章を読んだことがあるかも!?」と思ったことがあります。特に、大手企業では、トップ自らが原稿を書くことは稀であり、通常、CSR担当者が素案を作成して、社長には、内容をチェックをしてもらって製作しているはずです。おそらく、CSR担当者が他社を比較検討しすぎた影響なのでしょう。他社の情報が頭に入っているので、表現こそ違いはありますが似たような文章になってしまうのは仕方がないことです。(特に外部環境記述)

たとえば、多少なりとも社長自らが原稿に手を加えているのでしたら(全ての文章とは言いませんが)、社長独自の視点でオリジナルティ溢れるメッセージが出てくるはずです。おそらく、ESGを重視する投資家の視点として、社長がESGの観点でどれだけ熱い思いで事業を行なっているのかを伝えるのがポイントになってきます。中小企業のトップメッセージでは多く見られますが、やはり、社長自らの言葉で語っている方が、投資家にも共感を得られるはずです。むしろその方が、CSR経営を実践されている会社ではないでしょうか。例えば、NTTドコモのトップメッセージは、敢えて、Q&A形式にしているように思いました。

掟2:3つの「にくい」は言語道断

トップメッセージでは「読みにくい、分かりにくい、見にくい」のは言語道断です。せっかく社長からの熱いメッセージも、内容が伝わらなければ意味がありません。よくあるのが文字級数が小さく、更に文字量が多いケース。特に、紙のレポートでありがちですが、1行目を読んだだけで、もう読みたくなくなりますよね。最近では、社長だけだと読まれないので、アスリートやアナウンサーなどとの対談形式で読んでもらう工夫をしている企業があります。その場合だと、社長自らの声で語ることができて、確かにメッセージとしては、掟1でお伝えしたように共感を得られるのかもしれません。ただ、誰もが知っている有名人を呼ぶとなると、もちろんそれなりの金額もかかります。少なくとも、デジタルコンテンツ上では、文字量は出来るだけ少なくして、社長のCSRに対する熱い思いが伝わる文章を目指すべきでしょう。

先日、当協会で実施した『CSRコンテンツ充実度ランキング2017』のトップ3に入っている企業のWEBサイトにあるトップメッセージを確認してみました。皆様は、どの企業の社長が一番熱く語っているように思いましたか?

1位 KDDI
2位 資生堂
3位 トヨタ自動車
3位 りそなホールディングス
3位 伊藤忠商事

なかには、CSRに関するトップメッセージがない企業もありましたが、今後のランキングを考える上では、評価指標に組み入れる必要があるのかもしれませんね。個人的には、やはり、WEBサイトといえども、トップメッセージの最後には、社長直筆の氏名が入っている資生堂や伊藤忠のトップメッセージは文章も短くて良かったと思いますが。いかがでしょう。

掟3:紙レポートを単純にWEBに置き換えたサイトはCSRを重視していない?

最近少なくなってきましたが、過去に、紙レポートのPDF版をWEB版に置き換えているサイトがありました。なかには、紙レポートのPDFを、項目別に切り分けて、項目ごとにリンクを貼りつけているサイトもあったことを記憶をしています。確かにコスト的には、紙レポートをWEBに転用できるので、合理的で費用を安く抑えることができるのかもしれません。ただ、さすがにユーザー視点にかけており、会社として「CSRに費用をかけたくない」という姿勢が見えてしまいますよね?これでは、CSRを伝えているのに、逆に「自分達はCSRに力を入れていない。」と伝えているものです。やはり、多少費用がかかったとしても、できるだけ、紙メディア、デジタルメディアはそれぞれコンテンツや構成を分けて考えていくべきではないでしょうか。

「トップメッセージ」の効果的な伝え方

密度を高める!

トップメッセージはやはり伝える媒体によってメッセージは使い分けるのがベストです。最近では、デジタルメディアでCSRに初めて触れる人が増えてきています。その場合、紙メディアと比較してメッセージが長いと読まれません。ですので、短い文章の中で、どれだけ社長の熱い思いが伝わるのか、その密度が重要になってくるのです。やはり、人の心はメッセージによって動かされるものです。そういった意味で「一球入魂」ではありませんが、是非、社長の思いを凝縮して、トップメッセージとして伝えてほしいものだと思います。

モバイルメディア対応は必須!

また最近では、WEBが更に進化してスマートフォンでインターネットを見る機会が増えてきました。スマートフォンで企業サイトを開いたときに、PCで開く画面が出て、文字が小さかったら、それだけで読みたくなくなりますよね?コンテンツをわざわざピンチアウト(表示を拡大)して読む人はまずいないでしょう。やはり、今の時代はスマートフォンを意識したレスポンシブWebデザインのサイト作りは必須ではないでしょうか。そのためには、やはり、自分なりに本で勉強するなり、セミナーに参加するなりして、事前に最低限のスマートフォンに関する技術を知った上で、WEB製作会社への依頼をするべきでしょう。また、CSRに精通していて、更にデジタルコミュニケーションにも強い専門的なアドバイザーに頼るべきだと思います。

まとめ

少し古いデータですが、2015年3月に経済産業省が「投資家等を対象としたESG情報の活用状況に関するアンケート調査2014」には、「機関投資家が統合報告書でどの部分を見ているか」という調査で、圧倒的にガバナンスとトップメッセージの割合が高いという結果がでています。やはり、自社へESG投資を呼び込むためには、トップメッセージの重要であることが理解できるのではないでしょうか。是非、オリジナリティ溢れる熱いトップメッセージを期待しています!

さて、6月も残りあとわずか。もうすぐ半年も終わってしまいそうです。あなたは半年間でどれだけ成長をしましたか?CSRコミュニケーション協会では、いよいよ来月からランキング制作委員会の動きも加速していきそうです。是非、下半期の動きにもご注目ください。では、来月またお会いしましょう!

※本投稿は個人の見解であり所属する組織・団体を代表するものではありません。

 

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執筆者:猪又 陽一

東京商工会議所「eco検定アワード」審査委員、2016年第三者意見執筆企業(南海電鉄、アマダホールディングス、リケンテクノス)。早稲田大学理工学部卒業後、ベネッセコーポレーション入社。その後、外資系ネットベンチャーやリクルートエージェント等で新規事業立ち上げ後、大手環境戦略コンサルティング企業に合流。環境・CSR分野における戦略・実行、コミュニケーション、教育など幅広く従事。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」、「CSR JAPAN」をプロデュース。著書:『CSRデジタルコミュニケーション入門』(インプレスR&D、共著)

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