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【第8回】CSRコミュニケーションは本当に必要なのか?

  • 2017.5.8

CSRコミュニケーション協会のアドバイザーを務めます猪又です。このブログでは、「CSRデジタルコミュニケーション入門」に書かれている内容の補足や分量的に追加できなかった内容を含めて、日々感じたCSRコミュニケーションについてお伝えしたいと思っています。まずはお詫びということで、4月のブログが5月になり遅くなってすいません。後程ご説明しますが、4月は私の周りで色々と変化が起きたことと、来年に向けてのランキング制作委員会の事務局も忙しかったんです(言い訳ですね)でも、GWは完全に休養して気持ちも余裕が出てきたので、5月早めに更新させて頂きます。

CSRコミュニケーションは本当に必要なのか?

「CSRデジタルコミュニケーション入門」が発売されてから1年過ぎました。私の身の回りも大きく変化し、当時の考え方と少しずつ変わってきている点もありますので、改めて現時点での考え方を整理したいと思っています。

そもそもの話になってすいませんが、「企業はCSRコミュニケーションに注力すべき」なのでしょうか。それを言ったら、CSRコミュニケーション協会の根底を覆す話になりますので身も蓋もないんですが(笑)

すでに、ご存じの方もいらっしゃいますが、実をいうと私が運営していた(過去系?)「CSRJAPAN」というサイトも6月末でサイトが発展的解消することが決まりました。サイト自体は、2010年11月4日からスタートして約6年半でしたが、各企業のCSR報告書を集めて、より多くの方に興味をもって読んでもらうようにアクセスランキングなど工夫したつもりでしたが、すでにCSRコミュニケーションの手法が紙ベースからデジタルメディアに移行している今の時代を考えると、サイトの役割は終わったのかもしれません。今後、CSRサイトがどうあるべきかについては安藤さんのブログ記事でも書かれていますのでその議題はそちらに譲るとして、実際にサイトを運営してみて改めてCSRコミュニケーションの難しさを感じている次第です。

約0.5%も満たないCSRコンテンツの価値とは何か?

最近では、SDGsやESGという言葉も頻繁に目にするようになりました。ただ残念なことに、CSRコンテンツのアクセス数の少なさは第3回「CSRコミュニケーションのKPIに何を定めるのか?」でお伝えさせて頂いた通りで、大手企業だとしても、せいぜいサイト全体の0.5%も閲覧されていないのが現状です。「担当者はショック! 就活生はCSR報告書には興味がない?」という記事にもある通り、担当者が思っているほどに、リクルートにも影響していないのが現実だと思います。

では、企業としてCSRコンテンツにどこまで力をかけるべきなのでしょうか?例えば、私たちのようなコンサルタントからの意見では、CSRコンテンツをタイムリーに更新することを推奨する場合があります。ただ、更新を頻繁にするといっても、そのためには、担当者の時間と労力がかかるわけで、人件費がかかっているわけです。それに見合う効果があればいいのですが、実際には、それほど読まれていないのが現状です。果たして、サイト全体の0.5%も読まれていないコンテンツにどれだけ時間と労力をかけるべきなのでしょうか?

CSRコンテンツは、いざというときの安心機能

昨年、本を出版した時には、企業が実施しているCSRの取り組みを多くの人に知っていただくことが大切だと私自身主張していました。その想いは、CSRコミュニケーションの理想として今も変わらないのですが、やはり、現実的な問題として、コンテンツ自体が面白味がないものを認知させることほど難しいことはありません。担当者の皆様が苦労されていることも分かります。

そんな折りに、私の周りの環境が色々と変わり、改めてCSRコミュニケーションの位置づけを考えた時に、ふとベネッセ入社時の上司の言葉を思い出しました。私が一番最初に配属されたのが、小学生からの教科や生活に関する質問や悩みを回答する相談コーナーを担当する部署でした。その当時言われたのが、「相談コーナーは、商品としてそれを前面に出して訴求するものではなく、あくまでも安心機能として使ってもらえればいい。」「利用頻度は少ないけれども、必要な子供にとっては、とても重要な機能なので、なくすわけにはいかない。」という言葉でした。まさに、CSRコンテンツも、この相談コーナーと同じ位置づけだと思いだしたのです。企業の商品やサービスのように前面に認知させるものではなく、あくまでも企業の信頼を得るための重要な機能として下支えしているものではないでしょうか。

まとめ

「必要としている人に重要なこと」ということを考えてみると、やはりステークホルダーごとに必要なコンテンツを分けて掲載するのが理想なのでしょう。どうしても、CSR報告書では、マルチステークホルダー向けに、マルチコンテンツを提供しているので、情報が埋もれてしまうのはメディアの特性上仕方がないのかもしれません。その点、デジタルコンテンツでは、「必要な人に必要な情報を伝えられる」ように技術的にも工夫しやすいメディアだと思います。そういった意味では、時代は、紙からデジタルへと今後益々加速していくことは必須なのでしょう。最近では、企業サイトをみていて「これ伝え方うまいなぁ」というようなCSRデジタルコミュニケーションも出てきています。是非、今後のCSRコミュニケーション協会の動きにもチェックしてくださいね。

さて、5月に入りGWも終わってしまいましたね。いよいよ今日から仕事開始です。CSRコミュニケーション協会でも来年度の「CSRコンテンツランキング2018」に向けて、4月に、有志が集まり評価委員会が発足しました。これから先、ランキング委員会も加速していく予定です。もし、ご興味がある方がいらっしゃれば、随時募集していますので、応募してくださいね。5月からCSRについて何か新しいことを始めたい方は是非お待ちしております!

※本投稿は個人の見解であり所属する組織・団体を代表するものではありません。

 

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執筆者:猪又 陽一

東京商工会議所「eco検定アワード」審査委員、2016年第三者意見執筆企業(南海電鉄、アマダホールディングス、リケンテクノス)。早稲田大学理工学部卒業後、ベネッセコーポレーション入社。その後、外資系ネットベンチャーやリクルートエージェント等で新規事業立ち上げ後、大手環境戦略コンサルティング企業に合流。環境・CSR分野における戦略・実行、コミュニケーション、教育など幅広く従事。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」、「CSR JAPAN」をプロデュース。著書:『CSRデジタルコミュニケーション入門』(インプレスR&D、共著)

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