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ガイドラインから読み解くCSRコミュニケーションの特性とは

  • 2017.4.25

CSRコミュニケーションの特性

CSR関連の情報開示は、ステークホルダー視点が重要であり、企業が言いたい事を言えば良いというわけにはいきません。

今は、広告会社から監査法人まで、様々な業種が広義のCSRコミュニケーション支援に参加しているだけに、CSRコミュニケーションと言っても、その定義もバラバラであり、求めるものも異なります。

そんな現状を踏まえて、改めて「CSRコミュニケーション」について、定義や方法論を確認しておいたほうがよさそうです。ということで、今回はISO26000からCSRコミュニケーションの基本を読み解きます。

このブログの読者の方ならISO26000はご存知かと思いますが、「7つの原則・7つの中核主題」という基本項目の他に、CSRコミュニケーション(社会的責任に関するコミュニケーション)に期待される項目も、実は規定されているのです。

社会的責任に関する情報の特性

■完全である
情報は、社会的責任に関係する全ての重要な活動および影響を取り扱うべきである。(CSR情報は網羅的であるべき)

■理解しやすい
情報は、コミュニケーションに関与するであろう人々の知識、並びに文化的、社会的、教育的および経済的背景を考慮した上で提供されるべきである。(ステークホルダーの特性を認識すべき)

■敏感である
情報は、ステークホルダーの関心に敏感であるべきである。(ステークホルダーのニーズを認識すべき)

■正確である
情報は、事実に基づき正確であるべきである。また、その目的に役立ち、目的に適うよう十分詳細であるべきである。(定量情報とプロセスの開示)

■バランスが取れている
情報は、バランスが取れ、公正であるべきである。また組織の活動の影響に関する否定的な情報を省くべきではない。(両面提示)

■時宜を得ている
情報が特定期間の活動に関する内容である場合、対象期間を明示することによって、ステークホルダーは、その組織のパフォーマンスを過去のパフォーマンスおよび他の組織のパフォーマンスと比較することができるだろう。(情報開示の適時性)

■入手可能である
特定の課題に関する情報を、関係するステークホルダーに開示すべきである。(アクセシビリティの向上)

※「()」内は安藤による注釈
参照:「ISO26000:2010 社会的責任に関する情報の特性」(ISO/SR国内委員会、日本規格協会)

ガイドラインの意味

レポーティングのガイドラインである「GRIスタンダード」でも、同様の指摘がされていますので、特に違和感はないと思います。

むしろ、7年前の2010年の時点でこれだけ的確にまとめられている、ということがすごいのかもしれません。

これらの基本的なことは、大手企業であればどこでも実施していそうですが、第三者評価などをさせていただくと、実はそこまで加味されていない、ということのほうもよくあります。制作会社の担当者が知らないのでCSR担当者もご存知ない、と。

CSR報告書およびCSRウェブコンテンツの制作会社担当者は、たぶんこの項目をご存知でない方がほとんどだと思います。ISO26000の項目の中でも意外にニッチでページですし。2017年は様々なガイドラインやイニシアティブが出てきているからこそ、それぞれのガイドラインの特徴を理解し、CSRコミュニケーション活動に生かすべきです。

どのCSR関連ガイドラインでもそうですが、下手なCSR関連書籍を読むより、よほど学びがある場合が多いです。上記の内容は基本的なことですので、ぜひ頭の片隅にでも置いておきましょう。

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執筆者:安藤 光展

CSRコンサルタント
専門はCSR領域のコミュニケーション、ステークホルダー・エンゲージメント、企業評価。著書は『CSRデジタルコミュニケーション入門』、『この数字で世界経済のことが10倍わかる〜経済のモノサシと社会のモノサシ』など。2009年よりブログ『CSRのその先へ』運営。大学卒業後、インターネット系広告代理店などを経て2008年に独立。以降、企業のCSR/社会貢献領域のコンサルティング業務を中心に活動中。1981年長野県生まれ。

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