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【第6回】CSRで企業価値を高められるかは企業担当者の力量次第・・・

  • 2017.2.27

CSRコミュニケーション協会のアドバイザーを務めます猪又です。このブログでは、「CSRデジタルコミュニケーション入門」で分量的に追加できなかった内容を含めて、日々感じたCSRコミュニケーションについて考えてみたいと思います。

今回は、改めてCSRで企業価値が向上しないボトルネックについて考え直してみたいと思います。その際に、経営学者マイケル・ポーターの産業クラスターの考え方を、ちょっと強引に(?)CSRに置き換えて考えてみたいと思っています。

CSRにおける産業クラスターとは?

産業クラスターとは、企業、大学、研究機関、自治体などが、地理的に集積し、相互の連携・競争を通じて新たな付加価値(イノベーション)を創出する状態のことを言います。通常、企業が持っている経営資源が企業の競争力を生み出していると言われていますが、ポーターは、それ以外にも地理的な繋がりが企業の競争力に影響があると言われています。特に、その代表例として、グーグルやアップルを誕生させたシリコンバレーは皆様もご承知のことでしょう。

なぜ、今更ながらに産業クラスターの話をもってきたかというと、やはり、私自身も長年CSR業界に身をおいている者として、この業界の集積(繋がり)というのはとても大事だと痛感しているからです。今の時代、インターネットがあれば、CSRに関する情報はどこからでも自分で集めることができる時代です。統合報告書を作成するには、そのガイドラインをみればいいですし、マテリアリティの進め方などは分かりやすく解説をしているページもあるでしょう。それなのに、なぜネット上でも分かる研修やセミナーにヒトが集まってくるのでしょうか?なぜなら、そこには担当者間のインフォーマルな繋がりがあるからです。そのような公開できない情報は、どうしてもインターネット上で入手することができないです。(例えば、「○○という会社(個人)に依頼したけれど、××だった・・・」というようなキツイ情報も飛び交います)そういった意味で、CSR担当者同士の仲間作りは、結構大事になってきます。

企業担当者によって取引コストが違う

取引コストとは、①探索コスト、②交渉コスト、③監督と強制のコストと言われていますが、例えば、同じCSR活動を実施するにしても、ある人は信頼できるアドバイザーに即座に相談して企画書を作り、上司に掛け合い、すぐに実行してしまいます。その一方で、自分で色々と調べた結果、結局はなにも出来ないで終わってしまう人もいるのです。信頼できる外部ネットワークがあれば、「取引先を探す」、「交渉する」などの「取引コスト」の削減にも成功しており、外部ネットワークの有無によって、その担当者のできる業務内容や範囲が違ってくるのです。私が知る限り、CSR評価が高い企業に共通しているのは、企業担当者(経営者も含める)が外部ネットワークと強いパイプを持っている印象を持っています。(もちろん、単に飲み友だけ多い方もいらっしゃいますが(笑))また、このことは社内ネットワークにも同様なことがいえるはずです。

ランキングが発表されて何をしたのか?

先日、CSRコミュニケーション協会からCSRウェブサイト格付け「CSRコンテンツランキング2017」が発表されました。最近では、安藤さんの記事にもありましたが、東洋経済のCSRランキングが発表されたそうです。その際に、「あ~、こういう企業が一位なのね・・・・」「やはり、○○は凄いや~。うちはお金がないし無理かも・・・・」といってそれだけに終わってしまうことはないでしょうか?例えば、なぜランキングがそうなっているのかを、そのメディア担当者やインフルエンサー(有識者やオピニオンリーダーと呼ばれる、業界内で影響力の大きい人物のこと)を知っていれば、自社に足りない理由を簡単に聞けるかもしれません。もしくは同業他社で知り合いがいれば、単刀直入に聞くことも可能かもしれません。(教えてくれない場合もありますが・・・)大切なのは、すぐに行動に移せるかどうかです。

今後CSR企業担当者に求められる力

CSRデジタルコミュニケーション入門」にも書きましたが、改めて追記して記載させて頂ければと思います。前職でも転職アドバイザーをしていたこともあり経験上から、特にこれから先CSR担当者に求められてくるのは、3つのスキルが必要ではないでしょうか。その3つの力とは①企画力、②マーケティング力、③ネットワーク力、実行力です。簡単に言ってしまえば、社内の経営資源をうまく使って企業価値を高めていけるようなプロデューサー的なタイプの人材です。最近では、リソース不足もあり、企業間連携や協業も求められてきています。なおさら、ネットワーク力が求められてくるわけです。

能力

まとめ

さて、今回は、強引に(?)経営学者マイケル・ポーターの産業クラスター理論を持ってきましたが、やはり、CSR界隈に外部ネットワークを持つことは、自社の企業価値を高めていくうえでも大切なことなのです。最近では、無料CSRセミナーも増えていますので、是非、最後の懇親会まで参加していただきネットワーク作りに励んでください。(途中で帰っちゃう人も多いんですが・・・)また、有料CSRセミナーや勉強会は、同じ問題を抱えた意識が高い人が集まります。そこでの仲間は、無料セミナーでの出会いよりも絆が深いものになるはずです。更に、会社で有料セミナーをなかなか許してくれない場合には、無償ですが個人的にプロボノで参加してみると情報収集もできるのではないでしょうか?そういえば、今度、CSRコミュニケーション協会でもCSRウェブコンテンツ研究員を募集するみたいですので、興味がある方は応募してみてください。

昨日、東京マラソンが終わってしまいましたね。いよいよ明後日から3月。そろそろ春も間近ですね~。色々とアクティブに活躍するにはいい季節じゃないでしょうか?是非、色々とCSR界隈に足を延ばしてみてくださいね。ではでは、また来月にお会いしましょう。

※本投稿は個人の見解であり所属する組織・団体を代表するものではありません。

 

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執筆者:猪又 陽一

東京商工会議所「eco検定アワード」審査委員、2016年第三者意見執筆企業(南海電鉄、アマダホールディングス、リケンテクノス)。早稲田大学理工学部卒業後、ベネッセコーポレーション入社。その後、外資系ネットベンチャーやリクルートエージェント等で新規事業立ち上げ後、大手環境戦略コンサルティング企業に合流。環境・CSR分野における戦略・実行、コミュニケーション、教育など幅広く従事。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」、「CSR JAPAN」をプロデュース。著書:『CSRデジタルコミュニケーション入門』(インプレスR&D、共著)

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