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【第4回】報告書に書かれている数字の本質を捉える!

  • 2016.12.26

CSRコミュニケーション協会のアドバイザーを務めます猪又です。このブログでは、「CSRデジタルコミュニケーション入門」で分量的に追加できなかった内容を含めて、日々感じたCSRコミュニケーションについて考えてみたいと思います。

今回は、数字で報告する意味について考えていきたいと思います。最近では、企業担当者がESGに関心がある投資家を意識しているのでしょうか、報告書でも、分かりやすく数字で報告しているケースが目立ってきました。例えば、「CSR活動に従業員参加人数○○人」というように参加者人数をPRして企業の信頼感を醸成する企業も増えてきています。一見すると数字が大きい方が良さそうな企業に見えますが、果たして本当にそうなのでしょうか?

数字のマジックを見破る!

量も大事だが、さらに質も大事!

企業担当者の人事評価として、CSR活動の参加人数を目標にしているケースもあるでしょう。「CSR活動に従業員が5,000人参加」と、報告書で伝えることができれば、企業価値の向上に繋がるように思われます。企業担当者にとっても自分の成果として上司に説明することができるはずです。確かに、5,000人という数字を見ると、「凄いね!この会社は従業員が積極的にCSR活動へ参加しているんだ・・・・良い会社だね。」と閲覧者は思いますし、数字が大きいこと自体は決して悪いことではありません。

では、次の2つの企業のCSR活動では、どちらの方が企業価値が高いと言えるのでしょうか?

企業A:1回のCSR活動に、全従業員数20,000人中5,000人参加している。

企業B:1回のCSR活動に、全従業員数7,000人中5,000人参加している。

1回の活動でこんなに参加する企業はほとんど現実的ではないと思いますが、企業Aと企業Bでは、参加人数は同じでも明らかに企業Bの方が会社全体でCSR活動に取り組んでいることが伺えます。(もちろん、パフォーマンスは別ですが・・・)CSR活動を進める目的の一つとして「企業内組織力強化」がありますが、企業Bの方がその目的を達成していると言えます。

前提条件をしっかりと確認する!

また、次の場合はいかがでしょうか?「CSR活動に従業員が述べ5,000人参加」

すでにお分かりの方も多いと思いますが、「述べ」という表現に注意が必要です。「述べ」というのは、一人が複数回参加しても数字としてカウントされます。更に、この活動は何回実施したときの参加人数かも確認が必要になります。1回開催したときの人数か、過去10回の合計参加人数かによって意味が大きく異なるのです。

まとめ

以上のように、数字報告は、条件の設定によって捉え方が変わってきますので、一概に数字が大きいから凄いということでもないのです。企業担当者の報告責任として、数字で明確に示すことが必要ですが、その前提条件をしっかりと明記することも求められてくるでしょう。勿論、報告書を読む閲覧者側も、数字の前提条件をしっかりと把握しないといけません。とかく、報告書の数字が良くても実態が伴っていない会社が多くあるのは、皆様もご承知のことだと思います。

私も第三者意見も書いていますし、仕事柄、毎年多くの企業の報告書を目にします。最近の傾向として、欧米などの影響もあるのでしょうか、数字を大きくPRした分かりやすい報告書が多くなってきた反面、広報的な手法で数字が独り歩きしてテクニカルに走っている感じがしてなりません。その数字の本質を間違えると、大きな勘違いを生むことになります。決して、数字に踊らされることなく、やはり本質的な部分で判断する必要性があるのではないでしょうか。また、企業担当者も「数字のマジック」で視聴者に誤解を与えるような表現は避けるべきだと思います。

※本投稿は個人の見解であり所属する組織・団体を代表するものではありません。

 

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執筆者:猪又 陽一

東京商工会議所「eco検定アワード」審査委員、2016年第三者意見執筆企業(南海電鉄、アマダホールディングス、リケンテクノス)。早稲田大学理工学部卒業後、ベネッセコーポレーション入社。その後、外資系ネットベンチャーやリクルートエージェント等で新規事業立ち上げ後、大手環境戦略コンサルティング企業に合流。環境・CSR分野における戦略・実行、コミュニケーション、教育など幅広く従事。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」、「CSR JAPAN」をプロデュース。著書:『CSRデジタルコミュニケーション入門』(インプレスR&D、共著)

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