
今回、CSRコミュニケーション協会のプロボノを務めさせて頂きます猪又です。どうぞよろしくお願いします。
自分自身でブログを立ち上げようとしていたところ、安藤代表理事に声をかけてもらい(笑)、CSRコミュニケーション協会のサイト内でブログを書かせていただくことになりました。気楽にお付き合いください。私のブログでは、プライベートで研究しているCSRコミュニケーションやCSRマーケティングに関して日々感じたことを中心に書かせて頂きたいと思っています。あくまでも個人としての見解ですので会社とは一切関係ありません。ご了承ください。
CSR活動の定義が曖昧
まずは、共著である「CSRデジタルコミュニケーション入門」にも書きましたが、改めて、CSRコミュニケーションにとって最も大事であるCSR活動について考えてみたいと思います。例えば、私たちは外で食事をする際に、お寿司にしようか、中華にしようか、あれこれと考えますが、店に入れば見た目もさることながら、実際には料理が美味しいかまずいかで次の来店を判断するわけです。まさにCSR活動は料理そのもの、企業のCSRコミュニケーションの顔なわけです。
「CSR活動」は活動じゃないといけないの?
CSR活動と聞いてどんなことを連想されますか?恐らく、「地域の社会貢献活動」「工場の周りの清掃活動」など、どうも「活動」という語感に引っ張られてしまった活動を思い浮かべるのは私だけではないのでは?それでは、「社内の照明をLEDに変えた。」「社内公用車としてecoカーを購入した。」「内部告発のためのホットラインを用意した。」というような設備購入や人事制度などは、企業にとってのCSR活動といってもよいのでしょうか?最近、「本業におけるCSR活動をやりましょう!」という言葉を聞きますが、それでは、地域の社会貢献活動は、企業にとってのCSR活動なのでしょうか?
そもそも「本業におけるCSR」って活動なの?事業なの?
最近では、CSVなんて言葉を聞く機会も増えてきましたが、いわゆる「本業におけるCSR」といえば、「自社の製品やサービスで社会的課題を解決して経済的価値を高めるための事業を実施すること」と考えている方も多いでしょう。すでにご存じの通り、CO2削減など環境問題を解決するプリウスのような商品は、まさに「本業におけるCSR」なんだと思いますが、でも、あえて事業でCSVをやっていると言われなくても、すでに本業で環境配慮型の対応をしているわけだし、ほとんどの企業が本業のCSR活動はすでにやっているはずですよね?もっと言ってしまえば、理屈さえつけてしまえば、例えば、自動車メーカーであれば、「遠くまで歩くことができない弱者」に対する社会的課題に対して、自動車という製品で課題解決をしているといってしまえば、それ自体がCSVになっているのですが・・・。
CSR活動の定義
私なりにCSRの取り組みを定義付けしてみました。これはあくまでも個人的な見解ですので、異論反論があるかと思いますが、いわゆる「守り」と「攻め」で分けてみたところ画像の通りです。
「守り」と「攻め」の判断基準が企業によって異なっており、例えば、eco検定などのように攻めのCSRを企業全体で推進していくと決めて取り組んでいる企業も多くなってきています。やはり、誤解を生んでいるのは「活動」という言葉であって、これから先は、「CSRの取り組み」と言った方が、本業の商品開発なども含めるイメージができるので分かりやすくて良いのではないかと思っているのですが。。。
まとめ
今見てきたように、CSRに関わって約7年間が経過しますが、「活動」という言葉の曖昧さで、私自身いつもモヤモヤしている感じだったんです。活動といってしまうとCSRの範囲が狭まってしまいますが、最終的には、CSRだろうが、CSVだろうが、それを受け止めるステークホルダーが、各企業のCSRの取り組みをどのように感じているのかが大事なんだと考えています。そのためには、意図するところを伝えるためにはCSRコミュニケーションが大事であって、自分達のやっていることをしっかりとステークホルダーに届けることも企業の社会的責任の一つなんだと思います。今回はやけに固く書いてしまったので、反省。次回はもうちょっとくだけた口調で進めたいですね。(笑)
※本投稿は個人の見解であり所属する組織・
執筆者:猪又 陽一
早稲田大学理工学部卒業後、ベネッセコーポレーション入社。その後、外資系ネットベンチャーやリクルートエージェント等で新規事業立ち上げ後、現在、環境・CSR分野におけるコンサルティング会社で法人企業への教育などを担当としている。著書:『CSRデジタルコミュニケーション入門』(インプレスR&D、共著)