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BtoBのCSRコミュニケーションの3つのポイント

  • 2018.6.1

BtoBのCSRコミュニケーション

CSR/ESG報告の極論は「主要ビジネスモデルのESG課題(リスク)を特定し、その対応を経営戦略の中にどう取り込んでいるのかを説明せよ」ということです。CSR/ESGの考慮は負の外部性 (環境・社会問題等)を最小化し、市場全体の持続的かつ安定的(サステナブル)な成長に不可欠です。そのために、主に外部のステークホルダーから情報開示のプレッシャーが企業にある、というわけです。

そこで上場企業を中心に非財務情報の情報開示が行われるわけですが、開示をするだけなら、今の時代、そこまで企業ごとに差はありませんし、開示テクニックもずいぶん広がってきたように思います。問題は、その情報開示がステークホルダー・エンゲージメントにつながっているか、です。

開示というのはいわば“独り言”でもあります。しかし、ステークホルダーとコミュニケーションをしてエンゲージメントを成立させよう、となるとそう簡単な話ではありません。

エンドユーザーが近いBtoC企業はまだエンゲージメント・プロセスの全体像がイメージしやすいのですが、BtoB企業はエンドユーザーが見えにくい構造になっているため、きちんと道筋を立てないと、コミュニケーションが成立しない場面もでてきてしまいます。

そこで本記事では3つほど、BtoB企業が気をつけたいCSRコミュニケーションについて、注意点をまとめたいと思います。

CSRコミュニケーションの3つのポイント

■1、ステークホルダーの興味
BtoBのコミュニケーションの起点となるコンテンツは、商品・サービスをウリにしても一般的な興味を引きつけにくい傾向があります。日常会話に出てこない素材や部品の名称や制作の大変さなどどうでもいいのです。しかし、BtoBで昨今有効とされるのが「人」を前面に出す方法です。具体的には「社長個人をウリにする」のです。社長がダメなら、一般の従業員の方でもかまいません。CSR活動のコンテンツはお世辞にも一般的とは言えないので、人を前面にだして、そのストーリーを解説していくスタイルも検討すべきでしょう。

■2、課題を隠さず開示する
人間の本心は、いつも「言ったこと」のほうではなく「言わなかったこと」のほうにあります。「言わなかったこと」のほうにこそ本当に重要な事実が隠されているんです。CSR/ESGの情報開示においては企業の根本的な課題を隠して開示されていることも多いです。

しかし、沈黙はステークホルダー・エンゲージメントにおいて最善策ではありません。致命的な課題をそのまま開示する必要はありませんが、だからといってまったく触れないと、特に企業評価を行う人たちにはバレます。業界特性から大きなボトルネックはわかるので、例えばIT系企業のマテリアリティの一つが「人」なので、人に関する開示が少なければ、意図的に開示していないかダメダメなブラック企業がどちらかであり、どちらにしてもよい評価は与えられません。そういう時は「課題があるのは認識していて今後対策を取る予定だよ」って言えばいいだけです。

■3、ストーリーテリング
BtoBの商品・サービスの展開は、はっきりいって感情が揺り動かされるような話は皆無です。これだけCSRコミュニケーションにおいてもストーリーテリングが重要といっても、なかなか理解いただけません。

1番の「ステークホルダーの興味」にもつながりますが、ほとんどのステークホルダーは企業のコンテクストを知らないので、情報の受け手となるステークホルダーの情報ニーズは事前に調べておく必要があります。そして、会社も主力商品も何も知らない人に、できる限りCSRの前提知識もなく、会社のことを理解してもらうコンテンツを作り、それでコミュニケーションをとる。これがCSRコミュニケーションでいうストーリーテリングです。

コミュニケーションの起点

コミュニケーションやエンゲージメントと一言でいっても、他にも必須となるパラメーターはたくさんあります。その中でもBtoB企業のCSRコミュニケーションに関して、ご質問をいただくことがあるので今回は3つの視点でまとめました。

過去の失敗から考えるSDGsコミュニケーション
CSR報告における“読み物”の価値と関係性
SDGsをどのようにCSRコミュニケーションに活かすか

このブログでは、上記のようなCSRコミュニケーションに関する記事もまとめられています。お時間ある時にあわせてチェックしてみてください。新しい視点を見つけることができるかもしれません。

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執筆者:安藤 光展

CSR/サステナビリティ・コンサルタント
1981年長野県生まれ。専門はCSR/サステナビリティ経営、ステークホルダー・エンゲージメント。2009年よりブログ『CSRのその先へ』運営。著書は『創発型責任経営』(日本経済新聞出版社)『CSRデジタルコミュニケーション入門』(インプレスR&D)、『この数字で世界経済のことが10倍わかる』(技術評論社)など。

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