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CSR報告における“読み物”の価値と関係性

  • 2018.4.2

ステークホルダーの興味関心

昨今の統合報告書のアワードで上位に入る企業の特徴で“読み物の充実”という共通点があります。これはCSR報告にも重要な示唆があると考えています。

私が「読み物」と呼んでいるのが、いわゆる「エンドユーザー向けの記事コンテンツ」です。CSRも企業情報も知らない人でも、その記事を読めば該当企業の社会性の一面がわかる、そんなコンテンツのことです。CSRは日常生活では絶対に使わないであろう難解な概念やワードが出てくるカテゴリだからこそ、CSRという単語を極力使わずストーリーで取り組みを理解してもらう、これが理想だと考えています。

この記事を読むあなたは、検索やソーシャルメディア、メルマガから訪問してもらったと思いますが、世の中の多くの人は、CSRに興味を持って能動的に情報収集をしません。これは私の10年近くの調査で明らかです。この「企業からみれば重要なステークホルダーでも多くの場合、CSRそのものに興味があるわけではない」という大前提を理解し「そもそもステークホルダーは自社のCSR活動にあまり興味を持っていないと仮定しどのようにしたら関心をもってもらえるのか」という創意工夫が必要になります。

開示ガイドラインの正当性

では、そのコンテンツ作りには「ガイドライン」が役に立つのではないか、と思う方も多いでしょう。それは正解でもあり不正解でもあります。

CSR関連のガイドラインは世の中にいくつもあり、大手企業ほどそれに従おうとします。その姿勢は素晴らしいと思いますが、ステークホルダー・エンゲージメントの観点から言うとかなりダメです。

専門家および評価機関以外の、直接的・間接的ステークホルダーの多くは、ガイドライン自体を知らないし準拠したところでなんの意思決定もしません。(そもそも情報リーチができてないのですが)

そうなってくると、ガイドラインに準拠したからといって、多くのステークホルダーに届き、読んでもらえ、行動変容が起きる(=エンゲージメント)こととイコールにはなりません。むしろ、ガイドラインで規定される専門的な用語や情報カテゴリは、エンゲージメントを阻害する可能性すらあります。

また、ガイドライン等によるロジカルな情報ばかりになると、他社との違いがなくなってしまいます。ガイドラインに従えば従うほど他社と同一化が進んでしまいます。本来のCSRは自社だけのオリジナルなもののはずです。そうでなければそもそも社会に存在する意味がなくなってしまいます。

この読み物というコンテンツといいますか、そのプロセスもなのですが、今後はより重要視されていくだろうし、その視点の重要性に気付いている企業から、すでに取組と開示が行われています。

我々も様々なCSR情報開示の調査をし、より優れたコンテンツを見つけていきたいと思います。

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執筆者:安藤 光展

CSRコンサルタント
専門はCSR領域のコミュニケーション、ステークホルダー・エンゲージメント、企業評価。著書は『CSRデジタルコミュニケーション入門』、『この数字で世界経済のことが10倍わかる〜経済のモノサシと社会のモノサシ』など。2009年よりブログ『CSRのその先へ』運営。大学卒業後、インターネット系広告代理店などを経て2008年に独立。以降、企業のCSR/社会貢献領域のコンサルティング業務を中心に活動中。1981年長野県生まれ。

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