最新記事

CSRコンテンツでステークホルダーに何を訴求できるのか

  • 2017.9.1

ステークホルダー・エンゲージメントの価値

CSRコミュニケーションは、結局のところ、果たすべき役割は一つしかなく、それは「ステークホルダー・エンゲージメント」だと思っています。

ステークホルダー・エンゲージメントはCSR活動において最も重要なタスクの一つであることはいうまでもありません。そして、このステークホルダー・エンゲージメントを通じ、価値創造を行い、ビジネス価値の創出を行うのが目指すべきCSRコミュニケーションのあり方です。

本記事では一般生活者(消費者)が、企業の情報開示をどのように見ているのか、2つほど調査を紹介させていただきます。今後のCSRコミュニケーションのヒントになれば幸いです。

ソーシャルメディア活用

「生活者の“企業観”に関するミニアンケート」という調査を紹介します。

・企業が運営するソーシャルメディアを3人に1人が利用している
・利用後「企業の商品やサービスを利用するきっかけになった」が6割超
・利用している人のうち3人に2人が特定企業を「登録している」
信頼できる企業とは、「製品・サービスが優れている。技術力がある」が75%-「生活者の“企業観”に関するミニアンケート」の結果について-

csrは相手の言葉で説明する必要があります。“CSR的な話”をステークホルダーにするには、それぞれのステークホルダーが使う単語や文化を考慮する必要があります。投資家には「ESG」もしくは「企業価値創造」、取引先には「CSR調達」などなど。

私たちのCSRコンテンツ調査では、コンテンツを軸として情報の活用方法も評価項目としています。単純にユーザー(エンドユーザー)となる生活者が、ソーシャルメディアをつかって、他媒体の広告ではなく企業から直接情報を受け取っているのです。

だったら、CSR情報もソーシャルメディアを活用しない理由はない、ということです。ただし、CSRというワードは使わず訴求をする必要があります。このあたりはケースバイケースなので難しいですが…。

企業のウェブコンテンツの信頼度

広告に関する信頼度の調査を紹介します。

・回答者の83パーセントは、友人や家族からの推薦を信頼していると答えています。
・企業やブランドが「所有」するオンラインメディアも、最も信頼される広告形態のひとつです。ブランドウェブサイトの広告に対する信頼度は2013年調査に引き続き第2位となり、今回は1ポイント上昇して70%でした。
消費者が最も信頼する“広告”は、友人からの推薦、次いで企業サイト  ~ 従来型広告もいまだ有効

これは多くの方が実感していると思いますが、友人・知人の推薦は強力な広告となります。私も、友人が勧めている商品・サービスがあれば、信頼してしまいます。

注目は次です。企業やブランドのオンラインメディアも信頼される広告であると。CSRコンテンツは“綺麗事”とか“ポジティブな面しか開示していない”とか言われることがありますけど、企業サイト自体の信頼性は結構高いという調査結果が出ています。

これが正しいとすると、「企業サイトはトータルで信頼できるけど、CSRコンテンツはよくわからないし信頼できるかもわからない…」という推論も成り立ちそうです。企業のオンラインでの情報開示は比較的信頼されている。では、CSRコンテンツでの信頼性訴求も方法によっては、エンドユーザーに優位に届くはず?

上記2つの調査だけで社会動向がわかるわけではありませんが、企業の情報発信として、ソーシャルメディアや企業サイトを利用する価値は高止まりしてるように見えます。この状況をどのようにうまく活用するのか。まさにエンゲージメントになるかならないかは、情報開示の方法で決まってしまうのかもしれません。

まとめ

仮説も含めてですが、多くの企業にとってビジネス価値の創出は「エンドユーザーとのステークホルダー・エンゲージメント」になるのではと考えています。

CSRでいうコミュニケーションとは双方向の関係性です。しかしBtoB企業(特に製造業)は、エンドユーザーのステークホルダーが見えにくいものです。しかし、最終的な“価値の終着点”はエンドユーザーです。そこを見据え設計しないと、価値創出プロセスは作れないはずです。

オンラインでのCSRコミュニケーションも、エンゲージメントに有効に活用できる可能性が非常に高いです。エンドユーザーの多くにはには情報が直接届いているですから。

CSRコミュニケーションによって生み出せる価値とは何か。その価値を生み出すために、企業はステークホルダーに何を訴求すればいいのか。全企業の唯一の解はありませんが、これらの「本質的な問い」は唯一の問いです。社会が大きく変化する現代だからこそ“日々変わる答え”ではなく“10年後も変わらない本質的な問い”を心にとめておく必要がありそうです。

特典多数な正会員制度の詳細はこちら

執筆者:安藤 光展

CSRコンサルタント
専門はCSR領域のコミュニケーション、ステークホルダー・エンゲージメント、企業評価。著書は『CSRデジタルコミュニケーション入門』、『この数字で世界経済のことが10倍わかる〜経済のモノサシと社会のモノサシ』など。2009年よりブログ『CSRのその先へ』運営。大学卒業後、インターネット系広告代理店などを経て2008年に独立。以降、企業のCSR/社会貢献領域のコンサルティング業務を中心に活動中。1981年長野県生まれ。

関連記事

記事・コラム

  1. ステークホルダー・エンゲージメントの価値CSRコミュニケーションは、結局のところ、果たすべき役割...
  2. CSRコミュニケーション協会のアドバイザーを務めます猪又です。
  3. 行政を市民がチェックする筆者の会社がある自治体では、市の環境に対する取り組みを、市内に住む専門家...
  4. 社内への情報発信CSRの情報発信やコミュニケーションというと、多くは社外のステークホルダーをイメ...
  5. CSRコミュニケーション協会のアドバイザーを務めます猪又です。
過去の記事

出版・資料室

CSRデジタルコミュニケーション入門

CSRデジタルコミュニケーション入門

現代のCSRについて、どなたにも読みやすく、理解しやすく、そしてすぐに実践できる内容としてまとめられた一冊です。