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CSR調達を合理的・効果的におこなうためのお役立ちツールとは?

  • 2017.7.25

企業に迫りくるCSR調達の波

昨今、世間ではCSR調達の機運が高まってきています。

2015年9月には国連サミットでSDGsが採択され、翌年5月には日本政府がSDGs推進本部を設置。また、先日はピコ太郎が国連でSDGsに関するPRパフォーマンスをしたことがニュースで流れていましたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?

CSR調達においては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた『持続可能性に配慮した調達コード』がこの3月に出揃い、4月には調達に関する国際規格「ISO20400」が発行。こういった社会の動きからCSR調達が本格化していくことが予想されます。

このような環境の中で企業が第一に行わなければならないのは、自分たちのサプライチェーンに関する透明性や健全性を社会に示すことです。ちなみに、サプライチェーンとは、自社が取り扱うモノに対する原料から消費を経て廃棄に至るまでの全プロセスのことで、一次、二次、三次とサプライヤーが鎖状に繋がっていることからそう呼ばれています。

CSR調達に向けての具体的な業務としては、まずはサプライチェーンについての調査になります。つまり、バイヤーによるサプライヤーへの取引についての実態調査です。そうなると、バイヤー側は調査票を作成・配布する業務に追われ、サプライヤー側はバイヤー各社から配布された似て非なる調査票に回答する業務負荷が出てきます。

また、現状においては、一次、二次、三次と全てのサプライヤーがCSR調達を実践できているわけではありません。残念ながら、その多くは一次サプライヤーに限られている場合がほとんどです。

持続可能な調達の実現に向けたGCNJのCSR調達ツール

先述の状況をCSR調達実務の課題と捉え、CSR推進組織である「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」(以下、GCNJ)の分科会である「持続可能な調達の実現に向けて活動するサプライチェーン分科会」が『CSR調達セルフ・アセスメント・ツール・セット』(以下、アセスメント・ツール)を発行しました。

その中の『CSR調達セルフ・アセスメント質問表』は、サプライヤー自らが調達における人権や環境への配慮といったCSRに関する取り組みを評価するもので、GC10原則、ISO26000などの国際ガイドライン、特定業界のCSRアンケートをベースに作られています。

企業ごと、業界ごとで異なるアンケートには、当然設問内容や用語にばらつきがでてきます。これらを共通化することで、業界を問わず多くの企業が活用できる点が質問表の特徴と言えるでしょう。

筆者の会社も、かつて有害化学物質(SOC)や紛争鉱物の件でバイヤーから調査依頼を受けたことがあります。バイヤーごとに似たような調査票が送られてきて、自部門で回答しきれないところを関係部署に聴きまわりました。なんとか期限までに提出できましたが、疲弊感でいっぱいになった記憶があります。

今回のアセスメント・ツールは、バイヤーそれぞれが独自で調査票を作成する手間と、その回答に翻弄されるサプライヤーの負荷を軽減し、CSR調達に向けての環境整備の一助となることを主眼に置かれています。これまでCSR調達をしたことがなかった会社も、このツールセットを利用すれば自分たちの課題や取組むべきことを明らかにできます。CSR調達に向けての第一ステップとしても活用できるのです。

筆者もアセスメント・ツール作成に関わらせていただきました。アセスメント・ツールは、業種の異なるたくさんの企業の、主にCSR担当者と調達担当者が参加して制作されたものです。そして、内容においても、複数の専門機関や有識者からの意見が反映されて完成していることから、業種の違いや組織規模に関わらず使用できるものと考えます。

ボーダレスエコノミーのリスクと機会

話は変わりますが、先ごろの新聞でEPA(経済連携協定)の記事が載っていました。記事によると、筆者が大好きなチーズもモノによっては数年後には安くなるようです。また、少し前になりますが、トランプ氏が米国大統領に当選した際にはTPPからの離脱云々が話題になりました。実際、街を歩いても、最近は輸入食材店をよく見るようになり、知らず知らずのうちに国境が薄らいでいるのがわかります。

社会のボーダレス化の加速により、今や地球が1つの市場となっています。この傾向は進む一方で、もう後戻りはできないでしょう。日本企業も今まで以上に他国との取引を強いられることになります。海外の法令やルールを知らないが故に法令違反をしたり、現地の慣習を無視して不用意な取引を行って訴えられるといったリスクも出てくるでしょう。また、逆に、他国の同業者よりも健全な活動を行っていれば、それは競争上の優位性に繋がり、世界に向けて、新たな取引をスタートさせるチャンスも出てきます。

まずは使ってみよう!CSR調達セルフ・アセスメント・ツール

先述の例のようなリスクを管理し、社会全体が持続的に発展するためのツールの1つがGCNJ版のアセスメント・ツールと言えます。

国の境界線が薄らぎ、世界標準のルールや基準が次々と設けられている今の社会において、これらのガイドラインをベースに作ったツール・セットは、調達実務担当者の業務ロス低減に寄与するだけでなく、国内外に向けて自社の素性を明らかにできる“成績表”となり、世界と取引をするための“保証書”にもなり得ます。

CSR調達を行う上での自分たちの現状・課題を見える化し、持続可能な社会の実現、調達の実現に向けてのアクションを起こすきっかけを皆で作っていきましょう。

参考資料:CSR調達セルフ・アセスメント・ツール・セット
寄稿:Takada Yuriko

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執筆者:ブログ編集部
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