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近隣住民とのコミュニケーションで会社の損失を防げる!?

  • 2017.6.20

雨の日の到来と起こり得る会社のリスク

蛙鳴く 苗代小田に なりにけり(正岡子規)

早いもので、今年も梅雨に入りました。梅雨が明けるともうすぐ夏ですね。酒米「山田錦」の小さな苗が規則正しく並んだ水田からは蛙の鳴き声が聞こえてきます。季節の風物詩とはいえ、暑さに弱い筆者は、蛙や蝉の声を想像しただけでもうんざりしてしまいます。そんな蛙の鳴く田園地帯を通り抜けた先に筆者の会社の工場があります。

最近の梅雨は、時に集中豪雨を伴います。酷い場合は、工場の雨水側溝が水であふれて、工場の中にまで水が浸入してくることも。そうなると、現場では、土嚢を積んだり水を掻き出したりと、本業の生産どころではなくなってしまいます。

しかも、なにかの拍子で構内の危険物や薬品が転倒すると、雨水に混ざって敷地外へ出てしまう可能性も出てきます。そうなればまさに「緊急事態」です。ましてや、それが誰も対処する者がいない夜間や休日に起こったら…。

災害は忘れたころにやってくる

出張で工場に行ったときのことです。現場の掲示板に貼ってある緊急時の連絡網を見てみました。掲示がボロボロになっているものや、記載された連絡先が古いままになっているものがちらほら見受けられました。また、内容そのものは最新のものになっているとはいえ、薄汚れていてはなんだか信憑性を疑ってしまいます。この電話番号にかけて本当に繋がるのでしょうか?

この工場は過去にこれに似た件で大騒動を巻き起こした苦い経験があります。幸い流れ出た物質が微量だったことと、そもそも汚染物質ではなかったということもあって被害は出ずに済んだのですが、対応において行政への連絡に一部不備がありました。原因を調べたら、連絡網の連絡先の中に「県庁」という文字がありませんでした。

緊急時におけるコミュニケーションの不備は被害の拡大や二次被害にもつながります。問題が起こってしまったときはどこに連絡するのか、連絡先に抜けはないか、連絡先の電話番号は変わっていないか、夜間や休日はどこに連絡するのかといった、事態収拾の体制をきっちりと整備しておくことが大事です。

会社に損失を与えないための3つのポイント

そして、もう一つ忘れてはならないのは、そのような緊急事態を起こさないための予防管理です。予防管理の仕組みを構築し維持するには次の3つが重要です。

1:運用管理
事故を起こさないための手順やルールを作ったり、担当者のスキルを維持するために教育や訓練を行うことで、一定の精度での運用が可能になります。

2:日常点検
設備や運用の状態を定期的にチェックすることで異常を未然に察知することができます。

3:地域とのコミュニケーション
地域とのコミュニケーションも大事な予防管理の1つであり、また地域住民との重要なCSRコミュニケーションでもあります。

長野県のとある会社の取り組みを紹介します。この会社は田畑に囲まれたいわゆる“田舎”にあります。ここでは、年に1回、近隣住民や自治体、行政といった普段から関係の深いステークホルダーを招いて1年間の活動について報告会を開き、地域の情報やステークホルダーの意見や要望の収集に力を入れているそうです。

元々は、自分たちが環境や安全に配慮した企業であることを理解してもらうために始めた取り組みでしたが、何度か繰り返すうちに地域との信頼関係が生まれ、今では、気付いたことや不安に思うことを散歩ついでに気軽に知らせてくれるようになったそうです。

もしかすると大事故やクレームに繋りかねないことも、小さな芽の段階で摘むことができるのです。“近所づきあい”というと地味に思えますが、こういった地域との信頼関係がCSRコミュニケーションの基本の一つだと思います。

何気ない挨拶が重要なCSRコミュニケーション

地域は企業にとって一番身近なステークホルダーの1つです。近隣住民に迷惑をかけるようでは企業市民として失格です。言わずもがな、どの会社もそうならないよう取組んでいると思いますが、何事においても「絶対」というのはありえません。事故が発生した際の迅速な収束体制の確立と、そもそも事故を起こさないよう、予防管理は必要です。

いつまでも地域に愛される企業であるためには、普段からのご近所付き合いを軽視してはいけません。こういった小さく地味なコミュニケーションの上に企業の業績があるといっても過言ではないと思います。

台風の時期が終わるまでにはまだ時間があります。元々お酒は飲めないので山田錦にはあまり興味はありませんが、いつまでものどかな田園地帯で蛙の声を聞きながら仕事ができるよう、さっそく会社の緊急時のコミュニケーション方法について見直したいと思います。

寄稿:Takada Yuriko

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執筆者:ブログ編集部
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