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CSR報告による企業の信頼性向上の実現

  • 2017.6.15

CSR報告の意義

私は、企業がCSR活動を行う理由の一つは「信頼される企業になるため」であると考えています。別の言い方をすれば「ブランディング」というイメージでしょうか。

CSRコミュニケーションにおいて情報の信頼性は重要であり、その基礎がないとステークホルダーの信頼獲得は不可能です。

というわけで本記事ではあらためて“信頼を訴求するためのCSRコミュニケーション”についてまとめてみます。

ISO26000「信頼性向上」

ISO26000「7.6.2 社会的責任に関する報告および主張の信頼性向上」には、CSRコミュニケーションにおける信頼性の訴求に関して重要な示唆があると考えています。原文はかなりややこしいので意訳としてまとめると以下のようになります。

・パフォーマンスは長期的に評価できるようにして、かつ、同業他社のCSR報告とも比較できるようにする。
・マテリアリティ項目の開示理由を説明する。
・データおよび情報の正確性を説明する。
・第三者評価を利用する
・ステークホルダーダイアログを行い内容を検証する
・国際的ガイドラインへの適合性を説明する

これでもまだガチガチな表現ですが、マテリアリティ、第三者評価、ガイドライン参照、など、担当者レベルでもなんとなく理解できる点が多いと思います。

ちなみに、ISO26000では、組織が信頼を確立するにはステークホルダー・エンゲージメントが重要だとしています。まぁ、ISO26000がもともとステークホルダー・エンゲージメントを、とても重要視しているので当然といえば当然ですね。

外部評価と透明性

当協会のCSRウェブサイト格付け『CSRコンテンツ充実度ランキング2017』でも、信頼訴求に関する評価項目は入れてあります。国際的ガイドラインの参照・準拠、戦略性(マテリアリティの開示)などがわかりやすいところです。

昨今、CSR先進企業の大型不祥事が連続して起きています。その不祥事の発覚のきっかけが「内部通報・内部告発」だったことを考えると、企業の信頼性・透明性の担保として、「内部通報・内部告発」に関する評価項目を追加することも検討すべきなのかもしれません。

IRなどではコーポレートガバナンスの重要性がこれでもかと語られていますが、一般生活者にも企業のガバナンスは巡り巡って影響を与える可能性が非常に高いです。そういう意味では、CSRレポートにあるからといって、CSRコンテンツにガバナンスの項目を設けないというのは、信頼性という視点ではナンセンスなのかもしれません。

そうそう、なぜマテリアリティが透明性を担保できるかというと、一般的なマテリアリティ策定プロセスは、社外のステークホルダーおよび専門家の意見を踏まえているからです。多くの日本企業で行なわれている“会議室で作ったマテリアリティ”は、社外の視点や意見が含まれていないので、厳密には透明性を担保することができないので注意しましょう。

企業の信頼を獲得するには、発信するCSR情報の信頼性を高めなければならない。当たり前ですが多くの企業ではできていません。よくあるCSR報告書の「第三者保証」も監査法人が不適切会計を見抜けないように、保証も表面的なものにすぎません。(しないよりは絶対したほうがいいですが)

自分たちだけの情報で信頼性を担保できることは非常に難しいです。社外の専門家にきちんと相談をして対応をしていきましょう。

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執筆者:安藤 光展

CSRコンサルタント
専門はCSR領域のコミュニケーション、ステークホルダー・エンゲージメント、企業評価。著書は『CSRデジタルコミュニケーション入門』、『この数字で世界経済のことが10倍わかる〜経済のモノサシと社会のモノサシ』など。2009年よりブログ『CSRのその先へ』運営。大学卒業後、インターネット系広告代理店などを経て2008年に独立。以降、企業のCSR/社会貢献領域のコンサルティング業務を中心に活動中。1981年長野県生まれ。

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